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POPEYE MAGAZINE - JAPAN

Kenji Williams

Text by 久信田  POPEYE MAGAZINE 

 すごい才能に出会った。ケンジ・ウィリアムス。ぴったりの肩書を見つけるのはちょっと難しい。そもそも肩書やジャンルの内側に素直に納まる人間に、驚かされることはあまりない。  最初の遭遇は1年近く前に観た『モメント・ユートピア』というDVD。21世紀末のトランスシーンと伝統的なネイティヴ・アメリカンの霊的儀式をカメラで追い、一緒に並べてみせたドキュメント作品。ギャザリング)=人々が集い踊ること)の普遍性と、それを奪ってきたものへの疑問をストレートに訴えたメッセージある作品で、とても共感を感じた。もっとも当時は、エンドロールの作者の名を記憶できなかった。けれど、先頃発売されたアレックス・グレイのDVDを作ったのが、そのモメント・ユートピア』のアーティストだと知って、俄然ケンジに興味をそそられたのだ。  まず、アレクッス・グレイについて少し説明が必要かも知れない。とにかくアレクッス・グレイの絵はすごい。人間の「気」やチャクラ、エネルギー、目に見えないものまで描こうとするその絵画世界は、投資とコマーシャリズムに侵された現代美術の世界とはまったく別 の地平にいる。でも、ロック界やニューエイジ界、カウンターカルチャー界からの支持は熱く、作家本人の存在も含め、モノのわかった若者たちからとてもリスペクトされている。ケンジは今回、そんなアレックス・グレイとコラボレーションでDVD+CDのパッケージを作ったのだ。音と映像はもちろんケンジ担当。 「CDのジャケットにアレックスの絵を使いたくて、自己紹介のつもりで送った資料のなかに『モメント・ユートピア』があって...」。それを見たアレックスから連絡があって、ジャケットに使う絵のギャラ捻出のためのパーティがあったりいろいろあって、オークランドの古いボールルームを借り切って、`03年12月12日に行われた1500人規模のパーティ。その音と映像が今回の素材。7歳から始めたというヴァイオリンを弾きながらケンジが、音の全体とアレックスの絵を使ったVJをコントロールする。その横で神に捧げるかのように、アレックス本人が詩を詠唱する約1時間。といってもDVDでは、この1時間が何通 りにも楽しめて、アレックス・グレイの世界を動画で楽しめるVJ版もあって、字幕もあってインタビューもあり、我々の時代の最良の精神にとっては貴重な記録映像でありながら、エンターテイメントとしても存分に楽しめる内容となっている。 ●小見出し● 「そうだね。父はヒッピーだったと思う。英国人。ボクが生まれた時は世界銀行に所属し、環境保護の仕事で世界を飛び回っていて、だからボクはマレーシア生まれなんだけど、とにかく考え方はプログレッシブ。母は、その頃国際結婚した日本人女性だったわかだから、やっぱりプログレッシブだったと思う」。  ケンジはやさしい。ヴァイブレーションがとてもソフトで、無名性のないところにあるあの暴力がない。こんな素敵な才能は、いったいどんなバックボーンから生まれてくるのか知りたくて、家族について尋ねたのだ。 「父と母を、バーニングマンに連れていったんだ。二人ともとても楽しんでたよ」。  バーニングマンといえば、北米大陸の砂漠のど真ん中という過酷さの中で開催され、今や世界のパーティー・シーンに知れ渡るアンダーグラウンドな超メジャー。そんなパーティを一緒に楽しめる親子関係を読者の皆さん、あなたは持ってますか? そんな親子関係のなかで育った才能たちが、今どんどん花を咲かせ始めている。そんなワクワクするような期待感が、ケンジという存在を包んでいる。  今回『ワールド・スピリット』のDVDを見て、「親に見せたい」「赤ちゃんに見せたい」なかには「自殺する人に見せたい」という人もいたという。 「みんなの反応を見て自分でも感動してる。今思えば、結局ボクは『希望』をつくろうとしてたんだなってことに気づいた」。  もしもあなたが、その希望をメッセージとしてポジティヴに受け止められる感受性、水瓶座の時代の精神、聖なるものの存在を認める意識、自分たちだけの神ではなく、分裂を生み出す組織化された宗教ではなく、本当の意味での宗教心、地球を畏怖し、人類を憐れむ心、つまりワールド・スピリットを備えているなら、絶対にこのDVDは見ておくべきだ。そしてケンジ・ウィリアムスの名前を、覚えておいたほうがいい。

 

WORLDSPIRIT Video Sample:

VIDEO 1
VIDEO 2

Alex Grey website http://www.alexgrey.com
Magnetic Presence http://www.magneticpresence.com

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